Greeting社会に役立つ電子顕微鏡施設を目指して

 近年、エネルギー問題や環境問題が我々の技術開発や材料開発にも重要な視点として上がってきています。従来のように「作ってからフォロー」という態度ではなく、材料の設計段階から細やかな配慮が要求されます。特にバルク材料の機能をこえたナノ材料開発や微小ナノデバイスを創製する場合には、開発と評価の迅速な繰り返しが欠かせません。また材料やデバイスを実際に働かせている状態や材料が置かれている雰囲気を制御して評価や解析をする必要も増しています。

 ナノ材料やナノデバイス評価のための有効な方法の一つである透過電子顕微鏡(TEM)には、これまでは、① 試料を0.1μm以下にしないと観察できない、② 試料は真空中に入れて観察する、③ 得られる像は一種の投影像で3次元的情報は得られない、という問題点がありました。名古屋大学の電子顕微鏡研究グループはこのような問題点を十分認識し、それを少しでも低減する試みを長年行ってきました。反応科学超高圧電子顕微鏡(Reaction Science High-Voltage Electron Microscope; RSHVEM)もこれらの問題の克服をめざしたものです。

 この反応科学超高圧電子顕微鏡の応用例としては、自動車などのエンジン排出ガスを浄化する触媒材料の開発や、近年話題となっている燃料電池・リチウム電池などの材料開発、癌化による細胞内構造の変化の解明などがあり、社会的に大変有用であるばかりでなく、今後の我が国の高付加価値経済成長の一助となる装置といえます。

超高圧電子顕微鏡施設施設長 武藤 俊介